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フェアレイバー研究教育センター第1回公開セミナー
日 時:2007年9月8日(土)の午後1時〜5時

【第1回公開セミナー(2007年9月8日)の様子】
会 場:総評会館(千代田区神田駿河台3-2-11)
テーマ:韓国の産別労働運動の現状と課題:産別交渉をめぐる保健医療労組の「分裂」を中心に
報告者:イム・ヨンイル(林榮一)(元嶺南労働運動研究所所長)
通 訳:金元重(千葉商科大学)


 昨年2006年6月の現代自動車労組をはじめとする4大完成車労組の産別転換、今年2月の統合金属産別労組の出帆に象徴されるように韓国における産別労組建設運動は大きく前進しています。いまや韓国における企業別労組から産別労組への転換運動は、民主労総ばかりでなく韓国労総も含めて逆らえない大勢となっているといえそうです。

 しかし、企業別労組体制から産別労組体制への転換という歴史的な実験は、目覚しい成果だけでなく、深刻な対立・葛藤を生み出しているのも事実です。例えば、金属労組と並んで韓国の産別建設運動をリードしてきた保健医療労組では、2004年産別中央交渉に基づく産別協約の“効力”をめぐって、産別協約は支部協約に優先する統一協約であるとする本部組合と、産別協約はあくまで最小基準に過ぎず、支部交渉でそれ以上の成果をかちとった場合の支部協約は産別協約に優先するとするソウル大病院支部が対立し、ついにソウル大病支部は保健医療労組を脱退、その後12の病院労組と「全国病院労組協議会」を結成するに至りました。この対立・葛藤は、産別労組の組織運営のあり方や産別交渉の進め方、産別中央協約と企業別協約との関係、さらには組合民主主義の問題など、産別労組建設とその運営をめぐって多くの問題を投げかけています。また民主労総にとっても産別区画の問題や産別同士の紛争に対する調整者としての役割が問われてもいます。

 日本を振り返れば、偽装請負や非正規労働者が急増する中で、正社員中心の企業別労働組合のあり方そのものが問われています。それを踏まえると韓国労働運動の産別労組体制への転換は注目すべき動向です。企業別労組体制がいったん定着した韓国における産別転換・産別建設運動が日本の労働組合運動に示唆するものは何かを中心に韓国の産別労組運動の現状と課題を、韓国における産別労組建設運動を理論面でリードしてきたイム・ヨンイルさんに報告していただきました。

*参考文献:林榮一「韓国における産別労組建設運動」『大原社会問題研究所雑誌』573号(2006.8)
(この論文はhttp://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/oz/573/573-01.pdfで無料でダウンロードできます)

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